ボールを投げられない

心と身体のスポーツ障害.net」の代表 山中 英司先生のご紹介で来院されてらっしゃる大学の野球選手の症例報告です。ご本人の許可を得てご紹介させていただきます。
彼のポジションはピッチャーなのですが、プレイ中に身体が思うように動かなくて、投球が上手にできないということでした。
肩の関節を調べてみると、確かに投球時のポジションで痛みがあらわれました。しかし、この痛みは彼の主訴ではありませんでした。
初回から心身条件反射療法でケアをおこなうよりも、先ずはアクティベータ・メソッドで肉体面からのアプローチをおこなって、状態に応じて感情面にアプローチすることを提案しました。
3回目までに肩関節の痛みはなくなりましたが、投球時の不自然さが消えないということでした。次回より心身条件反射療法による感情面へのアプローチを始めることとしました。
感情面から身体に「緊張パターン」をもたらしていたのは、2年前のチームメイトに対するもので、ある選手がピッチャーになったために、自分が他のポジションにまわされたという悔しいという気持ちでした。
その感情を「リラックス・パターン」に切り替えることについて、「他のポジションについたことで、違った目線で野球に取り組むことができて、よい経験ができましたね。」と、話してみると、彼の顔は少しずつ緩んできました。
心身条件反射療法のメソッドに従って、「緊張パターン」から「リラックス・パターン」に切り替えると、8回目の来院には「最近、(投球の)調子が良いです。」という声を聞くことができました。
精神的なストレスというと、「発散させる」や「上手くつきあって」などと、ストレスのもとには目を向けないようにさせるようなアドバイスが主流でした。
心身条件反射療法は、「いつ」「何が」「どのように」ストレスとなったのか?ということを自分自身に気づかせることによって、その原因にアプローチするという考え方です。
詳しくは、ストレスの心身医療ーこころとからだの関係ー をご覧下さい。