ポジティブ・エイジング2

前回に引き続いて、東洋医学会専門医 木村 容子先生が記された「漢方の知恵で ポジティブ・エイジング」から、ご紹介させていただきます。
「ポジティブ・エイジング」とは、年齢を重ねることに対して否定的にならないで、肯定的、前向き(ポジティブ)に対処していこうという考え方です。
私たちは1年経つごとに1歳年齢を重ねるのですから、「加齢(エイジング)」は自然現象であって、誰にでも起こることだといえます。
そうならば、加齢(エイジング)に抵抗・対抗(アンチ)するよりも、年齢を重ねることに対して積極的(ポジティブ)に対処して、時計の針を積極的に遅らせましょう。
この文章を読んだときに、「なんとも素晴らしい発想の転換だ」と、思いました。加齢は誰にも止めることはできませんが、老化はコントロールが可能ということです。
漢方からみた「病気の原因」には、「気候の変化」(外因)、「感情の変化」(内因)、過労、寝不足や不摂生な食事などの生活習慣(不内外因)があげられます。
「四季の変化」や「過度な感情」さえも「老化」に繋がるうえに、忙しい現代人は「生活習慣」の影響を強く受けて、老化を早めるリスクが高いといえるでしょう。
江戸時代の儒学者「貝原 益軒」は、毎日おこなう身体の手入れの一つとして、「食養生」を薦めています。前回は「季節の旬のもの」が大切ですと書きました。
今回は「いつ」食べるのか?を考えてみましょう。日頃から「忙しい!忙しい!」といっている現代人は、夜の遅い時間から食事を摂ることも多いです。
遅い夕食で注意すること、食事を終えてから就寝時間までの時間を空けることが大切です。これは、食べたものが消化されるまでに、時間がかかるということを意味しています。
消化する時間には個人差がありますし、食べた量にも変わりますが、、一つの目安として「就寝時間までは3時間」は空けることを提案します。
胃腸で消化吸収しないうちに寝てしまいますと、寝ている間にも胃腸が動くことになります。身体の一部が活動モードにあるときは、安眠の妨げになってしまいます。
その結果、翌朝は「スッキリと起きられない」「胃がもたれて食欲がない」といったことにつながり、朝食を抜いてしまうことになってしまいます。
朝食は、一日の「エネルギーをチャージする」絶好の機会です。脳のエネルギーは「糖」ですから、朝食を抜くと頭の回転は鈍くなり、身体の動きも鈍くなってしまいます。(続く)