首が固まって動かない

70代の女性が、首を大きく前に突き出した姿勢で来院されました。昨年の1月に背中の7番目を圧迫骨折してから、首の痛みが始まったということでした。

整形外科のお医者さまに相談すると、「圧迫骨折が原因だから、仕方がないでしょう。」と、電気治療と湿布薬、そして首の牽引療法をされたそうです。しかし、その後も痛みからは解放されず、困っておられということでした。

  私  「圧迫骨折で歪んだ背骨は元に戻りませんが、首の痛みの原因を探していきましょう。」

患者さま 「痛みの原因は、圧迫骨折が原因でしょ。」

  私  「背骨は24個ありますから、かなり柔軟性があるんですよ。」

患者さま 「背骨は1本の柱じゃないんですか?」

  私  「そうですねぇ、たくさんの関節で繋がって、1本の柱をつくっています。」

と、言いながら、背骨の模型を見ていただきました。

  私  「この背骨を筋肉でしっかりと支えていますから、上手に筋肉を使えるようにしていきましょう。」

従来の医学では、身体の構造のみに着目するために、身体をたくさんの部品が集まった機械のように扱ってしまいます。一つの部品が壊れたら、新しい部品と入れ替えるといった医療です。

一般的に病院では「身体の仕組み」自体に問題があるということを叩き込まれますから、「加齢による構造の変化」として、「上手につきあって生きなさい」という説明になります。

しかし、カイロプラクティックでは、私たち人間は「こころを持つ生命体」であると考えていますから、身体の構造だけでなく、「身体のはたらき」にも注目していきます。

私たちの身体は、「脳・神経系」でコントロールされていますから、「身体のはたらき」を正常にするためには、「神経のはたらき」を正常にしなければいけません。カイロプラクティックでは「神経のはたらき」に注目し、「いつ、どこを、どのように治療するのか?」ということを考えています。

この患者さまのケースでは、首の前後の筋肉に強いアンバランスがみられました。このアンバランスを起こす「神経のはたらき」のトラブルがどこにあるのか?アクティベータ・メソッドの検査で入念に調べて調整をおこないました。

アクティベータ・メソッドによる軽い刺激で治療を終えて、ベッドから降りていただくと、痛みが少なくなったこと、そして首を突き出しておられないことに、たいへん喜んでいらっしゃいました。

カイロプラクティックは、構造を変えることが目的ではありません。正常な「身体のはたらき」を取り戻すお手伝いをすることが、カイロプラクティックの大きな目的です。