雪裡梅花只一枝  

日本列島が強い寒気に包まれて、全国的に冷え込んでいます。雪の被害も大きいようですが、ここ大阪柏原市では時折チラチラ舞う程度で、まだ積もるような雪は降っていません。

さて今日は、「ふっと心がかるくなる 禅の言葉」より、「雪裡梅花只一枝」をご紹介させていただきます。

雪裡梅花只一枝 (せつりのばいかただいっし)

苦難に耐えてこそ真実をつかむことができる

この言葉は、道元禅師の師・如浄のことばで、

「仏が凡夫としての眼を失ったとき(悟りを得たとき)、雪の中に一枝の梅の花が香る。いまはどこも茨だらけだが、春風が吹けば梅の花が一斉に咲き乱れるだろう。」というような意味です。

この梅花は「悟り」の象徴であり、仏の世界そのもをさしてもいます。

これを受けて道元禅師は「正法眼蔵」の中で「而今(にこん)すでに雪裡の梅花まさしく如来の眼晴なり正伝(しょうでん)し承当(じょうとう)す」と、述べています(「承当」とは受け継ぐこと)。

「雪の中の梅花は仏の悟りの眼そのものであることを、しっかり伝え継いでいきます。」というのです。

そうしてみると如浄のことばは、「いまは蕾もなく茨だらけだが、やがていっせいに花を咲かせる(悟りを開く)だろう、その花にこそ真実があるのだ。」と述べながら、仏道を歩む弟子たちへのはげましでもあったことがわかります。

冬のきびしさに耐えてこそ、梅は香しい花を咲かせます。

私たちにとっては、苦労を重ねて達成したり実現したことが「雪裡の梅花」でしょう。そこにはかけがえのない価値があり、確かな真実があるのです。

我が家には、プランターのような小さな庭があって、紅梅が植わっています。この時期はまだまだ蕾が堅いですが、今年も綺麗な花を咲かせてくれそうです。寒い冬を経験してこその紅梅なんでしょうね。