天下のひとのために蔭涼と作らん  

今日も各地で雷鳴が轟いて、お天気が乱れたようですね。ここ大阪柏原市は午前中に雨がパラパラと降った程度で、大きくは崩れませんでした。皆さまがお住まいの地域はいかがだったでしょうか?

さて今日は、「ふっと心がかるくなる 禅の言葉」よりを「天下のひとのために蔭涼と作らん」をご紹介させていただきます。

天下のひとのために蔭涼と作らん(てんかのひとのためにおんりょうとつくらん)

「蔭涼」とは、照りつける日差しをさえぎり、ひとに涼風をもたらす木陰のこと。涼しい木陰をつくるように、世の人のために自分の身を投げ出しても尽くす人物になるだろう(なろう)、というのがこの句の意味です。

唐代に生き臨済宗開祖として大きな足跡を残した臨済が、まだ修行僧だったときのこと。臨済はなかなか悟りを開くことができず、自分の力のなさを嘆いて師のもとを去ろうとしました。

このとき兄弟弟子の睦州が、師に「彼は今後みずから鍛錬努力して大樹となり、天下の人のために蔭涼となることでしょう。」と、臨済を留めおくように進言したということです。

実際、臨済は悟りを得たのち見事な大樹となりました。多くの人々の苦悩をさえぎり、その心に「蔭涼」を与えたといえるでしょう。

人に木陰をつくってやるどころか、他人を押しのけても快適な場所を独り占めしようというのが、いまの世の中かもしれません。

だからこそ弱い立場の人の「蔭涼」に志願しましょう。自分の暑さもいとわず、黙ってそっと太陽の直射をさえぎってやる・・・そんな、やさしさと強さを持った人を目指しませんか。

僕には大きいことはできませんが、身の回りのできることから始めていこうと思います。