噛むことで癒される

先日、読売新聞に興味深い記事が掲載されました。「不快感を抑えストレス減」という見出しが目を惹きました。
その中から抜粋してご紹介させていただきます。
苦しいときやつらい時、人は自然に歯を食いしばる。日常、何気なくおこなっている「かむ」という行為が、実はストレス解消に抜群の効果があることが、最新の脳研究でわかってきた。

試合前や試合中、せわしなくガムをかむプロ野球選手。そんな姿をテレビで見て、「マナーが悪い」と感じたことのある人は少なくないのでは。

確かに、マナー的は褒められた行為ではないが、選手たちは気付いていたのかもしれない。「ガムをかむとリラックスできることに。」と・・・

神奈川歯科大でおこなわれた興味深い実験がある。大音量のストレス下で、「ガムをかむ人」と「ガムをかまない人」とにグループ分けし、最新の機能的磁気共鳴画像(fMRI)で脳の活動を記録した。

その結果わかったことは、ガムをかんで口の筋肉を動かすと、扁桃体の活動が抑制されたこと。扁桃体は、視覚や聴覚などの五感から入った刺激が、快か不快かを判別する部位。

星城大学健康支援学研究科教授で歯科医の久保金弥さんは、「ガムをかむと扁桃体の活動が抑えられ、不快という信号が大脳に送られにくくなる。その結果、ストレスを感じにくくなる。」と話す。

また、「ガムをかんだり、歯ぎしりをしたりすると、血液中のストレスホルモンが抑制される。胃潰瘍や記憶障害などの予防になる可能性がある。」と話す。

神奈川歯科大の小野塚實教授は、「人間社会は本能を抑えて生きることの連続。捕食したり、身を守るために敵に噛みついたりする最も本能的な行為を再現することで、ストレスを発散させている。」とみる。

この記事尾を読んだときに、幼児にみられる噛み癖も、「家庭内でのストレスだ。」ということを、当院に通院されてらっしゃる保育士さんから聞いたことを思い出しました。夜間の歯ぎしりも、ストレスに対する防御反応だと考えると、納得できることですね。